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読者の皆様こんにちは。

ゲッサン編集部の市原です。

 

先日、偉大な落語家・立川談志さんが亡くなりました。

あだち充先生が最も尊敬する落語家であり、親交も深く

あだち先生の兄・勉さんは談志一門の弟子でもありました。

(落語家なわけではありません。)

 

不世出の「落語の天才」であると同時に

「日本語の天才」でもあり「人間の天才」でもあった革命児。

立川談志の遺した名言の数々を読む度に

日本人が誇るべき大きな存在を失ってしまったと痛感します。

家元のしゃべる言葉、執筆した言葉は

「芸」に携わる全ての人たちに巨大な示唆を与えてくれました。

僕のような若造でも、一人の漫画編集者として彼の言葉が

どれだけ考えるヒントになったかわかりません。

 

「漫画」も「落語」も人間の業を紡ぐ「物語」の一表現手段に過ぎません。

それを忘れた時、「エンターテインメント」「娯楽」は

ひたすら縮小再生産を繰り返すだけのつまらぬ「芸術」に成り下がります。

「芸術」に堕ちた表現手段は、自らを権威として飾り立て、

大衆から乖離することでしかその存在価値を見いだせなくなり、

さらなる「表現の死」へと転がり落ちていきます。

その蟻地獄から、落語を救った革命児がこの世を去ったのです。

 

僕の願いは、

漫画に携わる全ての人たちに立川談志の落語を言葉を聞いてもらいたいのです。

そこには、大きな岐路に立っている日本漫画界が進むべき道、

進んではならない道が明確に示されているからです。

 

「人間の業」を真っ正面から見つめ続け、「欺瞞」や「不粋」や「常識」を

罵倒し続けることで「人間の業」を愛した立川談志。

 

あだち充先生の小学館漫画賞授賞式に突然飛び込みでぶらりと現れ、

あだち先生にお祝いの言葉を届けるや、

颯爽と去っていったあの粋な後ろ姿を今も僕は鮮明に覚えています。

 

立川雲黒斎家元勝手居士。

 

家元が生前に決めていた自らの戒名。

その生き様、死に様の全てで

日本人が持つ、世界のどの国にも絶対に負けることがない圧倒的な美意識

「粋」とは何なのかを体現してくれた気がしてなりません。

 

心よりご冥福をお祈りいたします。

 

 

ゲッサン編集部 市原武法